東京都道14号(人見街道)・牟礼橋

調査日:2017.1.21

東京都道14号新宿国立線のうち、人見街道と呼ばれている区間に牟礼橋という橋がある。
去る2017年1月21日、牟礼橋付近で道路の切り替えが行われた。今回は切り替え後の現地の様子を、当地に存在する三代の橋の紹介を兼ねてお伝えする。




現在、東京都市計画道路放射第5号線(放5)及び三鷹都市計画道路3・2・2の2件の事業が、杉並区久我山から三鷹市牟礼にかけて行われているが、この2件の事業の接続地点が今回紹介する牟礼橋となっている。
ここには玉川上水が流れており、人見街道に隣接する放5も橋でこれを渡ることになったが、人見街道に架かる牟礼橋が現在の耐震基準を満たしていないため、放5と一体的に整備されることになった。
さしあたって、まず、放5上り線の橋を架け、一時的に人見街道の切回し道路として使用する。その間に牟礼橋の架け替えを行い、完成後、交通が戻される事になっている。


16:47
現在地:東京都杉並区久我山三丁目
現地は既に切回し道路への切り替えが終わっていた。牟礼橋への直進方向には仮設ガードレールが設置されており、車両は侵入できない。しかし、歩行者用通路が存在するので、そこを通った。

まずは、玉川上水の上流側に掛かる橋から紹介していきたい。
この地に架かる橋の中で最も古いのが、大正時代に架けられたとされる旧牟礼橋だ。

この写真は、上の写真の左側に写っている石碑の拡大で、右側の碑は橋名を伝えている。
「どんどんはし」というのはこの橋の別名で、豊かな水流をあらわす擬声語から付けられたようだ。
側面は道標となっており、右側面には「右 ふちうみち」と書かれているのが読み取れる。左側面は読み取れなかった。
左側の碑には石橋建立供養之碑と題されており、内容としては、この碑の建立年と建立の由来、橋が宝暦七年(1757年)と寛政九年(1849年)に架け替えられたことが書かれている。……らしい。
すなわち、現在架かっている旧牟礼橋は少なくとも4代目の橋ということになる。

石の欄干は低く、50cmほどしかないが、行政には手すり設置などの再整備は行わずこのままを維持して欲しい。

橋の構造は煉瓦アーチで土木学会の「日本の近代土木遺産―現存する重要な土木構造物2800選」にも登録されている。

下流側から旧牟礼橋を撮った写真。
この時代に作られた他の橋と同じように装飾が施されている。

この橋の場合、要石に模様が施されている。何を意味しているのかは分からないが。

続いて、人見街道に架かる牟礼橋を見てみる。
プレートガーダー橋で欄干に石材が使われている。こちらの欄干は1mほどの高さがあり、酔っぱらいが躓いて川に落ちるなんてことも無さそうだ。

牟礼橋は旧牟礼橋に隣接しており、竣工は昭和8年(1933年)、同時期に行われた人見街道の拡幅、線形改良工事と合わせて整備されたものだろう。

親柱は4ヶ所にあり、「牟礼橋」「むればし」の銘板が2ヶ所ずつ付けられている。

放5の上り線は大ケヤキを避けて敷設される。以前はここにガス管が通っていたが既に移設され、詰め物がされている。人見街道と放5の間のこのスペースには将来的に歩道が設置される。

続いて、切回し道路に架かる新牟礼橋を見てみる。新牟礼橋というのは、あくまで仮称であり、現時点で橋の名前は未定である。

新牟礼橋もプレートガーダー橋だが、欄干は安全性が確保された現代らしいものが設置されている。
しかし、人見街道と放5は進路が違うため、道と欄干が平行でないなど仮設感がやはり強い。

欄干の終端部にある空きスペース。ここに石材の親柱が設置される予定。

ここで、ひとつ東京都の資料を紹介する。
東京都第三建設事務所の広報紙、三建・放5ニュースに完成予想図が掲載されている。先に述べた石材を使用した親柱は8箇所に設置される。牟礼橋の架け替えは2017年秋までに行われ、放5は2017年度に供用開始予定とのことである。
三建・放5ニュース第15号より転載

大正、昭和、平成の3代の橋を並べて撮影。高さがないので一番奥はイマイチ伝わりにくいかもしれない。

最後に戦前から戦後の復興期、経済成長期を通じて平成29年に至るまでの84年という永い間、東京の交通を支えてきた牟礼橋の功績に対し、深く敬意を表します。


(完結)


参考資料

東京都・三建 放5ニュース各号
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jimusho/sanken/doro_ho_5news.html
東京都・東京都市計画道路放射第5号線建設事業 都市計画事業及び環境影響評価書のあらまし
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jimusho/sanken/doro_seibi_ho5_hyokasyo.html
土木学会 日本の近代土木遺産
http://www.jsce.or.jp/committee/hsce/2800/list_whole%20(2800)/14_tokyo%202.htm
蓑田 倜 (著) 玉川上水 橋と碑と
三鷹市史編纂委員会(編) 三鷹市史 補・資料編


変更履歴

2017.1.22 公開
2019.3.17 移転に伴う改訂

0 件のコメント:

コメントを投稿