前編では久我山街道の旧道を見てきたが、後編ではまず古人見街道筋を目指し、合流後はそのまま東へ進んでいく。
前編最後の所から300m、牟礼二丁目交差点で人見街道は左折する。
右折すると三鷹台駅へ、直進すると井の頭へ至る。
そこから更に180m進むと右に都道134号恋ヶ窪新田三鷹線(連雀通り)が分かれていくが、この道が久我山街道筋であることは前説で述べたとおり。
06:32
現在地:東京都三鷹市新川六丁目
道なりに1km進むと三鷹一小前交差点に至る。
久我山方向から来た人見街道はこの交差点で90度右に折れ府中へ向けて西進していく。
人見街道を語るうえでこの交差点は非常に重要な地点となってくる。それはここが人見街道と古人見街道の分岐点であるためだ。
この画像は三鷹方面から高井戸方面に向けて写している。
人見街道を辿って来た私は左の道から来た(三鷹方から来た場合、左折する)のだが、古人見街道はここを直進していた。この先はこの古人見街道の道筋を辿っていく。
直進の道は三鷹市道(下本宿通り)となっており、人見街道と東八道路をバイパスしている。
(行政的な話はともかく)1本の「道」として見た場合は、左折するより直進したほうが自然な姿であるし、(歩道などの)道路設備的にもこれから進んで行く市道のほうが三鷹方から来た人見街道と統一がとれている。
市道を400mほど進むと東八道路に合流する。
東八が開通する前は信号の真下を通る感じで道があったのだと思う。
1kmほど道なりに進み東八を左に見送ると、再び三鷹市道となり下本宿通りを名乗るようになる。
ちなみに地図を見ると(マピオンが分かりやすい)この付近、東西500m以上に亘って三鷹市と世田谷区が噛み合うように境界線が引かれているようだ。どうしてこうなった。
この道も日中は慢性的渋滞が発生している。道の性格もさることながら、S字カーブが存在する線形の悪さも渋滞を助長している。
古い時代の道らしい線形である。
この区間を回避するべく牟礼橋を経由する新道が造らているが、若干遠回りとなるため自動車はともかく自転車や歩行者は引き続きこの道を通りたがることだろう。
なお、このカーブを抜けた先から行政区画が杉並区に変わるのに伴い、道も特別区道第2134-1号線に変わる。
850mほど進んで来たところで中央自動車道をくぐる。
道なりに進むと環八、甲州街道方面に進むが、古人見街道を辿る場合は交通の流れに逆らって直進する。
07:12
現在地:東京都杉並区上高井戸二丁目
直進すると完全な生活道路に入っていく。
こんな道(失礼)でも明治以前からある古道なのだ。
東八道路と分かれてから共通して言えることだが、古人見街道は区境を走っている。そのため、気分的には既に世田谷区内なのだが、道は杉並区の管理する特別区道第1329号線(認定は昭和28年。割りと古参)であり、あと600mほどは杉並区とお付き合いすることになる。
分岐。古人見街道は右に。
左は更に古い古府中道だとか。
一旦2車線道路に飲み込まれるが直ぐに右へ分かれる。
いつの間にか世田谷区の特別区道41A001号(ブロック番号41番のA=1級路線、路線番号001号の意)に変わっているが、その道がまた狭いうえに線形が悪い。
最近整備された道の中にはわざとジグザグにしてスピードを出させないようにする道があるが(コミュニティ道路と言うらしい)、そういう道を養殖物とするなら、ここは天然物である。
L字構の部分に道路境界があるってなかなかだぞ。
なお、道路台帳によるともっとも狭い部分の幅員は2.91mとのことで群を抜いて狭隘である。
一応これでも狭隘道路拡張整備事業で後退してもらったらしい。
極めつけはこれ。
何だこの両方向から道を作っていったらズレちゃったみたいなのは。明治の手掘り隧道じゃあるまいし。
古人見街道は正面の交差点を左折である。
50mほどで右折。
ここで重大なお知らせがある。ここから80mほど進んだところから再び杉並区の特別区道第1329号線となる。
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
だが、道路台帳にそう書いてあるのだから仕方ない。しかし、世田谷区の道路台帳にも幅員などの諸元が書かれているため、重複しているのか何なのか。ただ思ったのは区道の管理って大変そうだなあということだった。
直進し国道20号(甲州街道)を渡る。
07:31
現在地:東京都杉並区上高井戸一丁目
千歳通りと名前が付いた区道を進み、芦花公園駅北交差点で旧甲州街道(現在は交差点挟んで西側が世田谷区特別区道42A003号、東側が杉並区特別区道第2137号線)にぶつかったところで古人見街道は一応の終点となる。
後編の区間は途中に供養塔なども見られない事に加え、特に中央道より南側の区間は普通の生活道路と化しているため、戦前までの宅地化が進む前の地図や航空写真を見ないことには正しい道筋が分からなくなっている。
また、今回の調査ではネットで手軽に道路台帳が見れたことから、その情報を積極的に記載したが、ゆえに道路台帳の闇の深さを垣間見た気がした。
(完結)
参考資料
杉並区地図情報システム・すぎナビ
三鷹市わがまちマップ
世田谷区道路現況平面図(Web版)閲覧サービス
世田谷区管理の道路の管理番号閲覧サービス
東京都建設局・東京都通称道路名
青空に花満開氏・元の人見街道を歩く(2015/04/29)
吉田之彦、渡辺晋、樋口州男、武井弘一(編)・東京道事典
東京都杉並区役所(編)・杉並区史
杉並郷土史会(著)・杉並区の歴史
三鷹市史編纂委員会(編)・三鷹市史補・資料編
鎌田 達也 (著)・井の頭線沿線の1世紀
変更履歴
2017.8.23 公開2019.6.23 移転に伴う改訂
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