茨城県道249号山方水府線交通不能区間(前編)

【前編】【後編】

前説


茨城県道249号山方水府線は茨城県常陸大宮市から常陸太田市に至る全長約13.9kmの一般県道である。
全線が供用済だが交通不能区間が約4kmあり、そのうち常陸大宮市諸沢の地割地区から常陸太田市天下野の寺入地区までの約2kmにかけては車道が存在しない。
本編に入る前に今回の探索場所について触れておこう。

上の画像は平成5(1993)年4月1日の路線認定時の区域決定告示である。
最小幅員は2.8mとのこと。なお、諸沢地内のバイパスが未開通のため、現在より延長が短い。

県が公表している土砂災害危険箇所マップの切り抜きである。県道が茶色線で引かれている。
地割側10番の下あたりから寺入側57番あたりまでが完全な交通不能区間である。
県の資料なので一定の信憑性はあると思うが、この線はトレース出来るのか。
最初に書いてしまうと、現在の地形図には見てのとおり沢沿いに徒歩道すら描かれていない。
赤い線は現地調査の際のGPSのログを転記したもので、上の画像の茶色線と見比べるとお察しなのだが、詳細は本編で随時触れる。

過去の地形図には徒歩道が描かれていたが、平成15年発行版までには消去されている。
見比べると地割地区東側の斜面を越えるルートも時代によって変わっているようだ。


本編

調査日:2020.9.22
06:35
さて、本編である。
画像は県道33号常陸太田大子線交点から県道249号を眺めているところ。
センターライン付きの2車線道路となっているが、交差点から40mほどで消えてしまう。
なお、画像左側に分かれていく道は県道249号の旧道で平成10(1998)年に現在私が立っている短絡路が開通するまでは県道33号と並行しつつ400m南で合流する形になっていた。

1.5車線ほどあった道は交差点から450mほどで1車線に狭まる。
ここまでヘキサなどは無かった。

最後の民家を過ぎると道は砂利道に変わり、まもなく砂防ダムに突き当たる。
常陸太田側の車道はこれで終わりである(県道33号から約700m)。

砂防ダムの名を寺入沢砂防ダムという。

ダムの堤体横に卒塔婆があった。
鷹取場2.5km。鷹取場ってどこやねん。……事前調査不足である。

ダムの付け替え通路を登り、ダムの裏手にやってくると沢を渡る鉄パイプで作られた橋があった。
地図を見ていた時、ダム右岸の沢にどうやって行くか悩んでいたのでまさに渡りに舟であった。

鷹取場を示す卒塔婆も橋を渡った先を示している。
案内は無いが真っ直ぐ進むと正面の山の稜線を走る林道に抜けられるらしい。

何かあるぞ。
『このルートは、長雨などによる増水時には、通行できなくなる恐れがあります。常陸太田市』
後の調査で分かったことだが、この道は常陸太田市の奥久慈トレイル50Kコースと言うハイキングコースになっているようだ。

よく踏まれた気持ちの良い道じゃないか。


などと思っていたら、ロープありのスラブが現れた。
正面突破する。

沢沿いの道のためかどこも湿っており、足元には注意する必要がある。

正面から道が無くなったため周囲を見渡すと対岸に平場を見つけた。渡渉しなければならない。
今日は水量は多くないが、確かに天候次第では通行できなくなりそうだ。

さらに進んでいくと両岸から道が消えた。
これは沢の中を歩けということなのか。

前方にビーバーダムのようなものも現れたが、両岸は切り立ったままで道のようなものは見当たらない。
半信半疑ながら障害物を越えると視界の先に踏み跡を見つけた。

その後も沢の中を歩いたり、沢を渡ったりする道が続く。

道が沢から離れたと思うと沢は滝になっていて、すぐに追いついてくる。

いちいち紹介していないが何箇所か急斜面を登り降りする箇所がある。
そういった箇所にはトラロープが張ってあるが、あまりあてにしないほうが良いだろう。

7:47
現在地:茨城県常陸太田市天下野町
砂防ダムから1.3km、沢から離れる時が来たようだ。踏み跡は山の上に向かって続いている。
歩き始めてからここまで丁度1時間。水分補給以外の休憩はしていないのでペースはなかなか悪い。

ちなみに古い地形図だとこの先も道が続いているが、帰りに鷹取場西側の沢から歩いて帰ったところ既に道は消失していた(道が無いので歩けそうなところを好き勝手に歩いていた)。
獣か山仕事の人間が歩いた気配は所々残っていたが、基本的には今まで歩いてきたような沢を歩きつつ滝を巻くような道だったのだろう。

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