林道小金沢山線(前編)

【前編】【中編】【後編】

調査日:2017.6.3

今回紹介する林道小金沢山線は、林道真木小金沢線14.2km地点から分岐し、小金沢山方面へ向かう全長約3.8kmの県営林道である。先に諸元を記載する。
路線名:小金沢山
開設年度:平成6年度
延長:3,783m
規格:2級
幅員:4.0~7.5m
(富士・東部林務環境事務所 平成28年度管内概要 より)
なぜ、この林道に目を付けたかというと地理院地図を見ていたところ、起点から2.7km地点に隧道が描かれているのを見つけたためだ。
山奥の隧道という点では神奈川県・丹沢の犬越路隧道と似た境遇にあるが、犬越路隧道は所謂連絡林道の中継地点なのに対し、今回の林道は隧道の先、0.6km地点で行き止まりとなっている所謂ピストン林道で、こう言っちゃ何だが、いかにも利用価値の薄そうな隧道(林道)である。

10:34
現在地は小金沢山林道の起点、真木小金沢林道との分岐地点。
左折が小金沢山林道だが、上の地図にあるように隧道までに起点を含めて3つの分岐が存在する。今回は起点側から「下の分岐」「中の分岐」「上の分岐」と表記する。

起点を示す標識。
今回走る道の名前が林道小金沢山線だと分かったのもこの時である。
路線図のうち赤のラインが本路線なのだが、地理院地図のラインより明らかに長い。計画路線図なのか車道終点から徒歩道が続いているのかは不明である。

さて、下の分岐についてだが、本線は左である。
右のゲートの先は初っ端から砂利道で、進んだ先は残土処分場になっているようだ。特に見るものはない。

10:41
フツーの林道を登っていくと中の分岐に到着する。
左が本線であることはタイヤ痕からも明らかである。
支線は後回しにして、とりあえず本線を進む。
道の状況が目に見えて悪くなってきた。
法面のモルタルが崩壊して、内側の土砂が流出している。
瓦礫自体は端に退かされており、通行に支障はない。

10:47
上の分岐に到着した。
左が本線だが、車両の通行は……半々位だろうか。
今回はゲートのある右の道を先に見る。地図上では0.2km先で行き止まりとなっている。

右の道に進入してまもなく、目の前には異様な光景が広がっていた。
切り立った地形に穿かれフェンスで閉ざされた1つのトンネル、そこに辿り着くために架かる無骨な橋。
私は極秘の施設を見つけてしまったのではないか。今にでも警備兵が現れて身柄を拘束されるのではないか。中二病ながらそんなことを思った。

路面に敷かれているのは表面をアスファルトで覆った鉄板だろうか。
一行につき5枚敷かれている。

坑口に着いた。
道路用のトンネルとは雰囲気が異なる。工業的な色が濃い。
このトンネルの正体は付近に所在する葛野川発電所の導水管の斜坑ないし横坑と思われる。

葛野川発電所は東京電力が管理する揚水発電所で1999年より運転されている。
仕組みを簡単に説明する。
上部ダムである上日川ダムと下部ダムである葛野川ダムは導水管で結ばれており(両者は貯水池の役割を果たしており相互に水のやりとりが可能)、その間に落差714m、傾斜度52.5度(パーセンテージにして130%!!)の水圧管路がある。この間で水を急速に落下させ、地表から500m地下に設置された3台の発電機を回すことによって、最大120万kWの電力を生み出すことができる。なお、将来的に発電機4台発電量160万kWまで拡張される。

地下発電所は現在地から1.5km東に位置し、導水管は0.2km北を東西に流れている。位置的には急落する手前と思われる。

現地で分かったことは、外から電線がトンネル内に引き込まれていること、耳を澄ますとかすかに機械音が聞こえること、坑口付近に灰皿スタンドがあり、「出坑時は電気の消灯を確認すること 東京電力」という張り紙があり、現在も日常的に使われているようであることだった。

工業的といえば、この2径間連続仮設トラスもそのひとつだろう。弦材が2枚1組になっているのは仮設橋ではメジャーなのかも知れないが、普段お目にかかることはなかなかできない。
20年前後は“常設“されていそうなこの橋、交通量を考慮すると仮設橋のままのほうが安上がりなのだろうか。

10:55
上の分岐に戻ってきた。
これから左の林道本線を進み目的の隧道を目指す。

だが、先行きは不透明だ。
正面上部の法面壁が剥がれているように見えたからだ。

分岐から180m。ヘアピンカーブの場面。
路面一面に落石が転がっており、自転車からの降車を余儀なくされる。

先ほど、下からも見えた崩落地点。
この様子だとしばらく自動車は入ってきてないな。

あ、これはヤバそう。
直感であった。
恐る恐るカーブを抜ける。

あー


0 件のコメント:

コメントを投稿