林道小金沢山線(中編)

【前編】【中編】【後編】

11:04
下の分岐から2.1km、上の分岐から0.6km、目的の隧道まではあと0.6kmの地点。
簡単には隧道まで行かせてくれないらしい。
既に自転車同伴での調査は諦めて徒歩での調査に切り替えている。

瓦礫や倒木の中に電柱が紛れているが、1枚上の画像を見れば分かるように、現在、上空には電線が張られている。
すなわち復旧工事がされたはずなのだが……それなら何故、復旧用の通路がない!踏み跡すら見当たらんぞ。

瓦礫を登り全景が見えてきた。
この崩落結構長いぞ。50mはあるだろう。
道自体もその先で右に折れ曲がり、橋でもって谷を渡っているのだが、その橋にも落石がなだれ込んでいるようだ。

周辺も観察してみよう。
まずは対岸。
対岸も法面をガチガチに固められているようだが、見える範囲では崩落は確認できない。

続いて左頭上を見上げる。
……おっかねーなー

ここまでは楽に来れたが、残り3mが難しそうだ。
私が体重をかけても動かないような大きい石がなく、ザレた急斜面となっているためである。
試しに片足を置いてみたところ、見事に締まっており、全く足が埋まらない。足で斜面を削り平らな面を造ることはできそうだったが、ブーツのグリップ力を信じることにした。

11:21
15分かけて崩落を突破。
無事に戻れるかは未定である(汗)

今、立っている橋について。
1枚は崩落の被害を被っているものの銘板は4枚とも現存している。
「檜立沢」「檜立沢橋」「ひのきたてさわはし」「平成9年4月竣工」の4枚である。

橋を渡ると道は元気よく登ってゆく。
対岸から見えていたとおり崩落は見当たらないが、モルタルにヒビが入っていたりと時間の問題と思われる。

S字カーブ部。
路肩擁壁とガードレールの見た目から比較的最近の施工だと思われるが、細部は不明。

11:28
下の分岐から約1時間。やっと到着した。
想像はしていたが、まぁ、地味である(笑)
手前に架かる橋は奥ノ檜立沢に架かるマミエ橋で平成9年10月の竣工である。

!?
右側に何かあるぞ。

中の分岐先にあったものよりスケールダウンしているが、これも横坑なのだろうか。
せっかくなのでへつって坑口前まで行ってみる。

到着。
全面に不可動のフェンスが張られており、そもそも人の出入りは想定されていないようだ。
幅30cm程の排水溝は無防備なので、本物の猫であれば侵入できるかもしれない。
なお、正面からの引きの絵がないのは後ろが断崖絶壁なためである。

中を覗くと電気系統の制御ボックスのようなものが設置されている。
機械の稼働音はせず、かつ坑内は無風であったように思う。

話を林道上の隧道に戻そう。
コンクリートベタ塗りのポータルであるが、扁額と銘板が付けられており、今までの穴とは違うまっとうな交通用の隧道である。
反対側の光が見えており、通行の支障となる内部崩落などは見られない。

小金沢山隧道
1997年5月
山梨県
延長 290.0m 巾 5.0m
高 4.5m
施工 株式会社 熊谷組

以上は銘板の情報である。
手前のマミエ橋の方が5ヶ月竣工が遅いが、仮設橋でも架けて作業していたのだろうか。

いざ、入坑!
早速だが、坑内分岐があるようだ。

分岐から20m先に扉付の閉塞壁がある。
常識的に考えて隣の坑口と繋がっているはずで、先程の坑口が人の出入りを考慮されていないことにも納得がいく。
冒頭の崩落地を修復もせずに強引に越えていった電線もこの分岐方面に引き込まれている。
扉のところまで行こうと思い数歩進んだところ、本線と違い風が抜けないためか”獣臭”がひどく、むせ返りそうになったため、諦めて引き返すことにした。

幅が一部広くなっているが退避スペースだろうか。
内装については坑口付近がコンクリート巻立。その先はコンクリート吹付となっている。
ところで先程獣臭の話をしたが、野生動物にとってもこの隧道は安全通路として利用価値があるようで、一面に鹿の糞が散乱している。よって、これを踏まずに隧道を抜けるのは至難の業で、私は早々に諦め、せめて熊か猪か分からないがウンとデカイのだけは踏まないように注意した。

終点側も起点側と同じように坑口から20mほどがコンクリートにより巻立られている。

トンネルを抜けるとそこは…山だった。

小金沢山隧道の終点側ポータル。
起点側と特に違いはない。

あえて違いを挙げるとすれば、隧道を抜けた直後に左急カーブとなっていることだろうか。


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