林道小金沢山線(後編)

【前編】【中編】【後編】

11:44
さて、小金沢山隧道を抜けて今回の目的の8割は達したわけだが、来ようと思って簡単に来れる場所でもないので、0.6km先の車道終点までは見届けることにした。
最早、車両も入ってこないので基本的に自然に任せるままの状態となっている。

まもなく現れた崩落地点。路肩側が比較的歩きやすい。
終点まで見届けると言ったものの、先程のような大崩落があれば即引き返そうと思うぐらいには惰性で歩いている。

50m程で再び崩落地。
路面上に木が生えているということは、崩落から短くない時間が経っているということだが、時折、最近の施工を思わせる工事箇所があったりして、時系列がよく分からないことになっている。

うーん
やっぱりモルタルは2、30年放置すると駄目になるらしい。

路肩から外の風景を見渡すと一面山山山である。
中央に見える九十九折は国道139号の松姫峠旧道のもの。

土木屋さんの中では目的に応じた色々な名称があるようだが、進行方向左側に石を詰めた網カゴが並べられている。
この辺りは比較的ゆったり目に道が造られている。

一瞬ドキッとした。

11:52
林道小金沢山線の終点に到着。
道を造るのが飽きたかのような唐突な終わりであるが、いっそ清々しい気がしないでもない。
徒歩道が続いているような気配もなく、実態は地理院地図と一致している。

帰り道、隧道の中で熊が仁王立ちしていた。なんてこともなく、崩落地手前まで戻ってきた。
逆に言えば、この崩落を越えない限り帰れないのだが。

12:15
問題の大崩落。
ザレ場を正面突破して大岩の下をくぐるルートが最短ルートと考えられ、足の運びもイメージできるのだが滑落への恐怖が実行を許可しない。
往路と全く同じルートを辿るのも復路では難しそうだ。
更に高巻きしようにも上に行けば行くほど石が細かくなるので限度がある。

地形との間で妥当な高度を探り合った結果、立っているのが現在地である。ちょっと高いな……
往路より高い位置をトラバースしたのだが、案の定足のグリップが効かない。その結果、指を斜面に食い込ませてなんとか滑落しないようにするという危険な場面となった。
ここからは右側の法面を手がかりに元の路盤まで降りていく。

12:38
崩落は渡り始めから10分ほどで抜け、上の分岐まで戻ってきた。

中の分岐の上から分岐する支線を見る。
支線はマシユ沢の支流を巻くようにして標高を下げていく。
正直、行き着く先が予想できるなかで、100m下ることに意味があるのかとも思ったが、乗りかかった船だ。行っておこう。

支線についてだが、大きな崩落はないものの、全体的にこれまでの道よりも荒んでいる。

路肩に目をやると「借地境界 東京電力㈱」の標識と境界石があった。
こんなの東電の管理道路だと言ってるようなものじゃないか(←あっ…)

右手の平地は残土処分場であろう。
ここまでペダルを漕がずに進んでいるが、行きはヨイヨイ、帰りは……の典型である。

ガードロープは今回の調査で初めて見た気がする。
なんとなくスースーする。

前方にコンクリートの壁が見えた。

12:48
終点。
中の分岐から1.4km、自転車で6分ほどである。
第1回に登場した横坑と同じ用途と思われ、可動式の扉となっているため、人の出入りも可能であるが、扉は赤茶けており、どちらかと言うと廃坑の色が濃い。

13:06
出発から2時間半で上の分岐まで戻ってきた。
調査前は隧道と支線を見るだけなのでサラッと終わるかと思っていたが、いざ蓋を開けてみると結構な時間が掛かってしまった。相手が屈託のない廃道とその予備軍であったためである。
しかし、発電所の裏側を見ることができるという点で魅力的な道であると思う。


(完結)


参考資料

山梨県・富士・東部林務環境事務所 平成28年度管内概要
東京電力ホールディングス・葛野川発電所1号機の営業運転開始について
株式会社奥村組・斜坑TBM工法

変更履歴

2017.6.28 公開
2019.6.24 移転に伴う改訂

0 件のコメント:

コメントを投稿