青梅街道明治新道・黒川通り(第2回)

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第2回は第1回の最後に現れた崩落箇所からのスタートとなる。

9:58
現在地:山梨県丹波山村
正面の状況を見て2本のルートが頭に浮かんでいた。
正面突破のトラバースと正面の木の後ろを高巻きする2ルートである。
しかし、前者は横断勾配が急な気配のする後半の砂地が気がかりであるし、後者についても手がかりの少ない崩落斜面の中を2〜3m程登る必要がある。
どちらも徒手空挙では途中で滑り落ちそうな不安があった。
4分の間、撤退も選択肢に入れつつ、この状況をどうするか考え込んでいた。最終的に本調査で最も長考であった。

10:04
長考の末に出した答えは戦略的後退である。
20m戻った所から木々を頼りに高度を稼ぎ、上から下へ滑空するイメージでトラバースすることにしたのである。差詰めモモンガ作戦といったところか。

大分高い所まで登ってきた。
これ以上登っても今度は降りるのが大変だし、ここからトラバースしよう。

10:14
モモンガ作戦成功。
こちらから写した画像の方が現地を忠実に再現出来ている。
この斜面を正面突破とかしたくないでしょう?

10:17
分かりづらいかも知れないが前方に切通が見えてきた。

反対から見ると分かりやすいかもしれない。
ここまで登りが続いた道はここを境に下り基調へと変化する。

10:23
崩落地を振り返って撮影。
ここも正面突破で通過する。

ここは石垣が決壊し路盤が半分崩れ落ちている。
左側が高巻きしようのないスラブなため、すべて流失した暁には結構な難所になりそうだ。

かなり高く石垣が積まれており見どころある箇所なのだが、現地では既に背景のライトグレーに気を奪われていた。

10:28
何か想像より急斜面なんだが……

画像中央右、木々の中に石が積まれているのが見える。
今回はそれが川側の擁壁であることが確実なので、あれより上に行かなければならない。

上を見て、下を見る。
ヒュー……

灰色の平滑斜面を越えても、元の高さまで登る作業があり、これら一連の斜面50mを6分かけて通過した。

10:37
大小の崩落がひとまず落ち着くのはこの地点からである。
周囲の地形がなだらかになった分、道迷い、誤った方向に進まないように一応気を付ける。

10:45
東京都水道局水道水源林 林班界標丹波山分区の標柱。
詳しくないのだが、左が54班、右がハイフンということで、これより先は管理がされているということか。

標柱を右目に道は左へカーブする。
するとまもなく、黒川通りは三条橋という橋で泉水谷を渡っていた。

……渡っていたが、橋は現存せず橋台のみが残る。

左岸の橋台は更に明確だ。
しかし、ここは地形が険しく、無理矢理降りるのは得策ではなさそうだ。(足も濡れるし…)
道自体はこの先も続いている(泉水谷林道の旧道とのこと)ので、上流へ遡流し、渡れる場所を探すことにする。

10:55
傾斜の緩やかな所を見つけたので川床まで降りてきた。三条橋跡から100mほど上流の場所だ。
下流方向を見るとここから両岸が切り立っていくようで、水深もそれなりに深そうだ。
橋台は視認できず、沢下りをするつもりも毛頭ないので、もう少し上流へ向かう。

画像には写っていないが、右側にワイヤーに繋がれた小さな廃木橋がある。
陸に打ち上げられて哀れな姿を晒しているが、ひとりの力ではどうにもできないので、スルーし奥に見える新橋を目指す。

快適

泉水谷左岸に渡ったが、林道(現道)の路盤まで登らなければならない。
適当な斜面を登らないといけないかなと思いつつ、あれだけ立派な護岸壁(上の画像参照)があったのだから作業道くらいあるのでは、と考えとりあえず下流方向へ歩く。

あった。
蹴込の部分が5、6個の石で作られており、小洒落た感じだ。

11:02
泉水横手山林道に合流。

前回と今回で紹介した船越橋から三条橋までの区間、黒川通りの前半部といえる1.8km+αを丸2時間かけて走破した。

小さな崩落も含めると両手両足では収まらない数になる崩落地帯をなんとか通り抜けて来たため少々疲れ気味だが目指す藤尾橋はまだまだ先だ。


(続く)

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