本編の前に
第3回の今回から上萩原バイパス区間に入るが、その前に上萩原バイパスの概要を説明したい。
国道411号のうち塩山上萩原区間は、線形が悪く、落石・土砂崩落等の災害が頻発していた。
そのことから、「災害に強い道路の確保」を主要目標とし、総事業費213億円をかけて1988年から事業が始まり、29年目の2017年に現在事業中のⅢ期バイパス2工区の完成によって、全長7.56kmにもなる一連のバイパス化が完了する。
これによって、アクセス機能の維持及び走行安全性の確保が期待できるという。例として、事業前には最小曲線半径12m級の急カーブが多く存在していたが、事業後はⅢ期バイパス区間に35m級のカーブが残るものの、概ね60m級以上のカーブになるなど大幅に緩和されている。
下の地形図は2017年1月現在のもので、旧道の大部分は既に抹消されている。緑色の線は旧道のおおよその位置を私が描き足したもので、今回の調査範囲でもある。
改めて見るとバイパスがゆったりとした道路設計であることが分かる。新規に道を敷いた部分は全体の8割以上にも及びそうだ。
本編
12:33
現在地:山梨県甲州市塩山上萩原
前置きが長くなってしまったが本編である。現在地はA1地点でガードレールの向こうに旧道が続いている。
しかし、直ちに橋を渡っていたため、ごく短い路面に特に遺構は見当たらない。
橋自体は既に撤去されており、橋台のみが残っている。
左岸橋台から右岸橋台を見る。
左岸橋台には”おにぎり”が取り残されている。
橋を渡るとアスファルトの2車線道路が残っており、緩やかな右カーブとなっている。
カーブを曲がり終えたところで現道に合流する。
合流したのも束の間、50mほど進むとU字のカーブで進行方向を反転させる。
路肩に落ち葉が溜まってはいるが、路面の状態は悪くない。
振り返って撮影。右側の道草の背が高く視界がきかず、カーブした先の状況が分からない。
少し進むと右側に現道の路肩補強ブロックが現れる。その影響で本来の旧道の路面の一部がブロックの基礎に奪われている。
直線からのゆるいカーブ、お椀型の勾配、豪快に横切る現道の高架とその下を潜る旧道、これらが絶妙のバランスで組み合わさり、良い絵になっている。
この橋は女橋といい、竣工は昭和35年。この橋を渡ったところに当区間唯一の人家がある。故に道が”生きていた”のである。
人家を過ぎると道は再びU字カーブで進行方向を反転させる。カーブを曲がり終えてから振り返って撮影。
先ほど渡った女橋を見下ろす。
最後に右カーブとキツめの上り勾配を越えると現道に合流する。
当区間の塩山方入口には通り抜けできない旨の看板が立っていたが、人気(ひとけ)のある”現役の道”だったため、問題無く通り抜けることができた。
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