国道411号旧道(第12回)・丹波山トンネル及び羽根戸トンネル

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国道411号のようにダラダラと続いた本調査も今回が最後である。
今回の調査対象について少し。今回の調査対象は丹波山トンネルの旧道(バイパス名不明)と羽根戸バイパス旧道の2箇所である。
現道の延長はそれぞれ、180m、780mあり、対応する旧道は320m、900mある。また、完成年は平成元年と平成14年で、この近辺で言うと羽根戸バイパスは一之瀬高橋・大常木バイパスの1世代上、丹波山トンネルはそこから一回り上といったところか。

16:36
現在地:山梨県丹波山村
旧道に足を踏み入れると次第に全体像が見えてきた。
旧道歴28年の道は荒れ果てていた。
横倒しの木を乗り越えて進む。

ハードル越えが終わると、今度は路盤が決壊していた。
砂地質で体重を加えるとさらさらと崩れていく。立木が生えていないため、足を踏み入れたら立ち止まらずに通り抜ける必要がある。
少々思考したのち、左の岩場を浮石に気をつけながら進んだ。

決壊地点を過ぎても相変わらず斜面真っ只中ではあるが、比較的安定した地帯となった。
画像中央から少し右側、斜面が川に切り落ちているところにガードレールがあるのがわかるだろうか。ここまでは、その荒れ具合から廃道化工事の完成形なのか自然災害の爪痕なのかを判断しかねていたが、どうやら前者の割合が高いようだ。

本来の道は川に沿うように続いていたが、この先の傾斜が更に険しくなったこと、既に日没時刻(16:42)を迎えていることもあり、尾根を横切ってショートカットした。廃道の300mを甘く見てはいけない。最悪、引き返す事態もあり得るのだから。
上の画像は旧道に復帰した場面で、久しぶりに平場が現れた。

視線を谷側に向けると路肩に道路標識が埋まっている。どうやら本来の路面から3~4m近く積まれた土砂の上を歩いているようだ。

終盤の5~60mにかけてはガードレールが2列になっている区間があった。土砂せき止め用だろうか?

現道まで残り20m、最後の最後でやっと土砂から解放された。

16:45
現道に合流。旧道入口には岩が3つ並べられており、入ってくるなアピールをしている。

通過してきた方向を撮影。
改めて画像を見ると旧道は現道より低くいところにあることに気づく。あまり意識していなかったが、現道に合流する際、小さな山を登っており、トンネル建設時に路盤の嵩上げをしたようだ。

塩山側に残した自転車を回収し先へ進む。
この画像の中央奥に道路標識が立っているが、現道を走る運転手からはちょっと遠いのではなかろうか。

左に羽根戸バイパスの旧道が分かれていたが、お馴染みの廃道化工事がされており、真面目に相手にすると時間がかかりそうなので省略。現道から目視するにとどめた。

案の定、かなりの傾斜になっており、特に白っぽい部分は歩くことすらままならなそう。

16:56
現在地は羽根戸トンネルの塩山側。
羽根戸バイパスとして前後の橋梁と合わせて建設された。
坑口によって途切れているが、旧道は左から右に通っていた。
ここから右の旧道に入ろうと考えていたが、”嫌なもの”が見えたので先に反対側の様子を見ることにした。

反対側はバリケードがあるものの盛土はされていないようなので、行けるところまで行ってみようと思う。
なお、この先の写真についてはディテールが崩れない程度に露出を補正しているが、それでもなお暗い部分があることはご了承いただきたい。

旧道に入ると用途不明な配管が置かれていた。
道自体はアスファルトも残っており、往時の状態に近い。

カーブを曲がると数台の建機が止まっており、資材置き場として使われている。

半分を過ぎた辺りで盛土が現れるが、道幅半分は未施工で普通に歩ける。

束の間、盛土が路面全体に広がってしまった。
いよいよ足元もおぼつかなくなったのでライトを点灯させる。17時3分のことであった。反射板が眩しい。

80mほど進むと再びシングルトラック分のアスファルトが現れ、それは現道合流まで続いた。


17:06
現道に復帰。これで今日全ての調査を終えた。
自転車のところへ戻るため、トンネルの中を歩いている途中、何台かの車が通過したが、日没後の人里離れた山奥の道路を歩く歩行者はさぞ異様だったろうな。


以下、奥多摩駅までの帰り道

17:41
東京都・山梨県境界通過。
東京都に入ってからは街灯が一気に増える。深山橋以東では前照灯無しでも進路が分かるほどに明るかった。さすが首都。

18:08
奥多摩湖入口通過。
深山橋〜奥多摩駅間を夜に走るのは初めてだったが、日中以上に長く感じた。

18:22
奥多摩駅到着。生還。


柳沢峠は例年12月下旬には積雪が始まるということなので、今年は天候に恵まれた調査となった。事実、翌週には雪に覆われたようだ。


(完結)


※参考資料


・国土交通省・道路統計年報2015
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/tokei-nen/2015/pdf/d_genkyou26.pdf
・山梨県
国道411号城東バイパス概要図
https://www.pref.yamanashi.jp/news/200603/documents/file_1142563113968.pdf[リンク切れ]
平成19年度公共事業等事後評価調書(国道411号(羽根戸バイパス))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/04607367849.pdf[リンク切れ]
平成20年度公共事業等事前評価調書(国道411号(大常木 BP))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h20-aki-zizen-03-kokudou411gou.pdf[リンク切れ]
平成22年度公共事業事後評価調書(国道411号(城東バイパス))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h22-jigo-10-kokudou411gou.pdf[リンク切れ]
平成24年度公共事業事前評価調書(国道411号(上萩原Ⅲ期2工区))
http://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h24-aki-03-jizen-kokudou411gou_kamihagihara.pdf
平成24年度公共事業事後評価調書(国道411号(塩山バイパス) )
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h24-01-jigo-kokudou411gou.pdf[リンク切れ]
平成25年度公共事業事前評価調書(国道411号(大常木バイパスⅡ期))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h25-aki-06-jizen-kokudou411gou_ootsuneki.pdf
平成26年度公共事業事後評価調書(国道411号(上萩原Ⅱ期バイパス))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/h26-06-jigo-kokudou411kamiagihara2baipasu.pdf
平成28年度公共事業事後評価調書(国道411号 (大常木バイパス))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/kendo7-h28-jigo-kokudou411-ootuneki.pdf
平成28年度公共事業事後評価調書(国道411号 (一之瀬高橋バイパス))
https://www.pref.yamanashi.jp/kendosom/documents/6-h28-jigo-kokudou411-itinosetakahasi.pdf
・日本工業経済新聞社・トンネル(大常木バイパス)発注へ/県峡東建設・21年度事業概要
http://www.nikoukei.co.jp/kijidetail/00136267
・奥多摩町誌編纂委員会(編)・奥多摩町誌 歴史編
・YAMANASHI DESIGN ARCHIVE・1148│おいらん淵
http://design-archive.pref.yamanashi.jp/oldtale/10388.html
・東京都水道局・水道水源林 ~安全でおいしい水は豊かな森林から~
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/water/pp/suigenrin/h22_10.pdf


変更履歴

2017.3.15 公開
2019.11.17 移転に伴う改訂

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